裏面ワールドトリップ
ローゼさんは鍋を火から降ろして木製の鍋敷きに載せると、その上に魔法の杖をかざし、何度か軽く振った。


しゅうしゅうと淡いピンク色の湯気が上がり、不思議な香りがゆったりと漂ってくる。



爽やかさと甘さ、優しさと力強さが同居したような、これまでに嗅いだ事の無い、心地よい香りだった。



それから彼女は鍋の中身を木のボウルに移し替え、ベッドのそばへやって来た。


ボウルの中のとろりとした温かいクリームを、私の顔に塗り広げていく。


私は目を閉じ、芳香を胸いっぱいに吸い込む。


体の力を抜いて、顔の表面をなめらかに滑るローゼさんの指の感触に身を委ねる。
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