裏面ワールドトリップ
鼻梁から額を撫で上げ、眉尻とこめかみを優しく押す。


口元を揉みほぐし、フェースラインを引き上げる。



マッサージされて初めて、自分の顔が固く強張っていた事に気が付いた。


異世界での緊張の連続だけが原因ではないだろう。


私のような平凡以下の人間でも

――と言う事はつまり誰でも――

普通に生きていれば、それなりに色々あるのだ。



ローゼさんの手は、筋肉に蓄積されたその強張りの1つ1つを、じっくり丁寧にほぐしていった。



最後に冷水で絞った布で肌を引き締めるように押さえ、マッサージは終了した。


「顔を見てご覧なさい」


私は体を起こして、ローゼさんが差し出してくれた手鏡を覗き込む。


「嘘……!」
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