年下彼女は嫌いですか?
再会と小悪魔の誘惑

今日一日、正確には半日もなかったけど…

「はぁ・・・」


最悪な一日だった



ベッドの中で一日を振り返ってみると、ため息が落ちた





アキラさんの家を出た後はあっという間だった
聞かれるままにあったことを話して
ケガの具合は、医務室、というには本格的な部屋で診てもらったところ
とくに大きなケガはないということで、病院にもいかずにすんだ

それともう一つ

必死に頼んだおかげで両親には連絡しないことを約束してもらった
いつも遅くまで働いている両親に、出来るかぎり心配をかけるようなことはしたくなかったから

母は看護師で父は弁護士
絵に描いたようなエリート家族
それでも両親は、ドラマのように、娘もエリートに、なんてことはしなかった
自分のしたいことをすればいい
そう言って私の気持ちを一番に尊重してくれる両親が、私は大好きだ


そんなこともあって、両親に連絡がいくことは避けられたようだ


ふと枕元の時計を見ると、もう12時を回っていた


「おやすみ」

誰もいない空間に向かって呟くように向けたあいさつは、すぐに暗闇にとけてしまった





ショックはまだ抜けない
抜けるわけがない


今も、思い出すだけで、男に触れられた足にぞくりと鳥肌が立つ

でも、それだけじゃない





アキラさん ―――――


彼に、見られてしまった
惨めで情けない姿を


もともと少なかった可能性が、一瞬で消え去ってしまったように感じる

これからは、哀れな女だと、同情の目で見られるのか・・・





(…だめ、考えるほど考えが暗くなってく)


今日は疲れてるからこんなことを思うのだと、どうにか自分を納得させて
目を閉じて、ゆっくり深呼吸をすれば
意識は驚くほど早く、そして自然に、眠りへと堕ちて行った




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