年下彼女は嫌いですか?


「ん・・・ぅ、痛ッ!!」

気づいたらしいライちゃんは少し身じろぐと痛みに目を見開いた

「ライちゃん、大丈夫、ここは俺の家だから」

「はい……え、あ、アキラさん!?」

少し落ち着いたらしいライちゃんは、
俺の顔を見るなり大きな目をさらに見開いて驚くと、真っ赤になって顔をそらした


「すごい顔赤いけど、まさか熱あるんじゃない?体温計「大丈夫です!!」…ほんとに?」

「大丈夫です。あの…ありがとう、御座いました…」

気を失っていた時の青白さはなくなり
ほんのりと赤みを帯びるまでになった彼女にほっと安堵の息を吐く


「それで…話したくないならいいけど、うちの前で何があったんだ?」

「っ!!」


ぎくりと身を固くして、気まずそうに視線をそらされる

「ごめん、話したくないならいいんだ」

気を失うほどだ。よっぽどのことがあったのだろう
それを無理やり聞きだす権利は俺にはない

「大丈夫です…話せます。楽しい話ではないですけど…」

申し訳ない、といった感じで悲しく笑むライちゃんを見て胸が痛くなる
そして俺は、ライちゃんの口から事のいきさつを聞いた
聞いているほどに胸の内から怒りがこみ上げてくる
幼い頃から知る元気な少女は、見ず知らずの男に汚されてしまった


「話してくれてありがとう。あと、簡単な傷の手当てだけしておこう」


話しながら再び思い出したのか、小さく震える彼女の背をそっと促して
おそらく突き飛ばされた際につけられた擦り傷を消毒してやる
他に目立ったけがはないよだが、心に受けた傷は、おそらく一生消えないのだろう



消毒を終えたところで警察が到着し、署の方で話を聞いた後に
念のため病院へ連れていくと言って、警官はライちゃんを連れていった





長く感じられた時間は、実はまだそんなに経過していなくて
時計の指す時刻は7時30分を過ぎたところだった


「・・・ちッ・・」

もう夕食を作る気分ではなくなってしまった
常備されているビールといくつかのつまみで腹を満たし
明日は少し早めに出勤しようと決めて、いつもより早く寝た


目を閉じても、瞼の裏に泣いているライちゃんの姿が離れなかった




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