不完全な完全犯罪・霊感探偵瑞穂誕生【完全版】
 そっと、入り口に目だけ動かす。

すると、僅かに開いたドアからスキンヘッドの頭だけが見えた。


――ギョッ!?

俺は思わず叔父さんと顔を見合わせた。


(えっー、コイツヤバイヤツかも知れないぞ)

俺は自然と身構えた。

でもソイツは頭だけ中に入れてペコペコとお辞儀をしていた。

それがあまりにも似合わな過ぎて、俺は思わず肩の力を抜いていた。


(どんだけ緊張してたんだ?)
自分の行動が可笑しくて、照れ隠しにソイツの頭に目をやった。


(それにしても……、この寒空にスキンヘッドはきついな)

俺はさっき動揺したくせに、呑気にそんなことを考えていた。




 (それにしても似合わないヤツだな。もしかしたらパンクかな?)

そんな思いで見事に刷り上げられスキンヘッドを見ていた。


(でも何でこんなにおどおどしてるんだ。もしかしたらヤバイヤツに追われてる? だから此処に来たのかな?)

俺は入って来た時から落ち着きを欠いていたヤツが、ただ者では無いと思い始めていた。


(きっと怖い思いでもしたんだろう? こんな頭だったらいちゃもん付けらるよ)

でも結局俺の思考は其処に落ち着いた。




 明らかに挙動不審。

何にそんなに怯えているのか判らないが、大きなものを抱え込んでいることだけは確かのようだった。


(そうだよな? だから此処に来たんだよな?)

ソイツを見ながら、事務所を見回した。

何時もと変わらない日常が、スキンヘッドの男性の登場で変わりつつあることを俺は感じていた。


俺は何だか判らないが、妙にソイツが気になっていた。


俺がスキンヘッドに動揺していることは明らかだった。


それはが何なのか今はまだ判断が付かなかったが、とてつもなく大きなものだと言うことだけは明らかなようだった。




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