大人の恋愛~背徳の行方~
梨桜は、黒木達と飲んだ翌日、相変わらず、定期便のように届く
祖母の荷物を開けながら、何を作ろうかと考えていると、携帯が鳴った。

画面を見ると、螢からだった・・・・

今週、何回か、螢からの電話が入っていたが、梨桜は、螢の声を
聞くと、また螢の元に走りそうになるので、声を聞きたくなかった。

結局、電話には出ずに、暫く、携帯を眺めていた・・・・・

それでも梨桜は、気を取り直して、料理をしたり、掃除や洗濯などを
したりしながら、土曜日を過ごした。

あと、2週間で、螢は、結婚する・・・・。

梨桜は、自分に、『螢が幸せになれるように』そして、
『私の心も、時間が解決してくれますよう』そう祈らずには
いられなかった・・・。



螢もまた、梨桜と別れてから、真紀の事や、結婚式の事などで
連休は潰れ、翌日からは、営業部から海外事業部へと、移動して
仕事を覚えるのに必死だった。

それでも、夜になると、いつも隣にいる梨桜がいないことに
寂しくなり、つい携帯を鳴らしていた。

多分梨桜は、出ない! そう確信はしていたが、会社でも今週は
梨桜を見かける事も、声を聞くことも出来い事への苛立ちと
寂しさとが入交り、螢の精神状態は、ピークに来ていた。

そんな螢の異変に、幸子は気が付いたが、今の螢に必要なのは
真紀ではない事が解っていたので、そっとしておいた。

真紀を求めているなら、真紀に連絡を取って、螢の側に居るように
言えるが、螢は、真紀を求めてはいない・・・・

そんな螢を、今は、見守るだけだった。
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