大人の恋愛~背徳の行方~
愛人生活
7月に入ると、螢の移動が発表され、そして真紀が、マンションに戻った。

梨桜は、今までのように、螢が、梨桜の所に泊まることはないだろうと
思っていたが、意外に、今までと変わらない状態で、泊まりに来ていた。

「マンションに帰らなくていいの?」

「あぁー、大丈夫だ。この間、遅くても良いから、帰って来いって
 言うから、帰ったんだよ・・・・
 そしたら、翌朝、やっぱり無理しないで、会社に泊まってくれってさ!
 全く、なんなんだか・・・・」

「・・・螢、もしかして不機嫌じゃなかった?」

「うん、そうかも。仕事で苛々しているのに、休みの日ならともかく
 平日は、真剣に疲れるからな・・・・・」

梨桜は、螢の様子が目に浮かぶようだった。

決して、梨桜の前でも機嫌が良いわけではないが、付き合いが長い分
だけ、螢が何を求めているのかは、梨桜には、手に取るように解るのだ。

梨桜は、心の中で

『大丈夫かしら・・・螢は、繊細なんだけどな・・・・』

梨桜は、螢の機嫌が悪いからって、会社に泊まって良いと言う話は
正直、呆れてしまった・・・・。

真紀の言葉によって、螢は、平日、殆ど、マンションへ帰ることは
無くなったが、土日には、必ずマンションへ帰って行った。

しかし、土日も、時と場合によって、梨桜の部屋に来ることも
あり、梨桜は、疲れている螢を癒し続けた。

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