TABOO~それぞれの秘密~
その後、彼は楽屋に戻った私をじっと見つめると
「あなたが有名になれば、俺と一緒に仕事もできるし会う機会も増える」
「樹くん、私は有名になんて……」
「恋人が世界に出られるように、表舞台を去ったんだろ?
それを後悔していないのか?俺の名前を使えば、あなたが表舞台に出られるのに」
何故それを知っているんだろう
確かに恋人は、私とコンクールで競いたくないと私を一線から画した
私も、恋人の為にと納得していたけれど
「カメラのフラッシュ、気持ち良かっただろう?」
洗脳するような彼の言葉を否定できない自分に気づく
「俺の名前、存分に、使えよ」
まるで鍵盤を弾くように、彼の指先が私の唇をなぞり
「そのうち、ここも俺のものにする」
その言葉の意味を理解しても尚、彼には抗えない空気が、私を包み込んだ
fin