青空の下へーその手に願いを込めてー
壁を向いたまま、明原先生がしゃべる。

「数ヶ月前からおばあちゃんと暮らしているらしいんだけど、ちょっと気がかりなことがあってねぇ…」

壁を向いたまま、首を傾げる先生。

気がかりと言う割には、声にはさほど気にかかっている様子は見られない。

……もっとも、壁のほうを向いていらっしゃるので、見えませんけどね?

そんな私の微妙な顔に気づかない(のは壁を見ているからだ)まま、先生が続ける。

「今まで何も知らされてなかったところに、急に親から祖父母の家に行って暮らせ、と言われたらしくて、意味もよく分からないままそっちで暮らし始めたらしいんだけど、その後数ヶ月で病気が悪化。病院暮らしになった」
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