本気で大好きでした。



「どっかご飯食べに行く?」

「行く~! おれマッハで来たから腹ペコ。」

「何食べたい?」

「腹にたまるもの」

「肉とか?」

「焼肉食べたい。お腹すいた。早く行こう、理緒」

「はいはい。」


そう言った彼方に連れてこられた、小さな焼肉屋さん。

席は6つほどで、他にお客さんもいない静かなお店。


「おぉ!誰かと思えば彼方!今日は彼女と?」


彼方の知り合いなのか、親しげに話しているエプロン姿のイケメンのお兄さん。


「ん~それは内緒」


正直、なにを考えているのかわからないや。

けど、ほんの少しだけ、「彼女だよ」の答えを期待しているあたしがいた。


「彼方、ちいは元気?」

「あぁ、まあな~」

「とか言って~。お前たち兄弟仲良くないもんな」


“ちい”って千聖さんのことか。


「あーちゃん、とりあえず腹減ったからあーちゃんスペシャルとご飯大盛りで!理緒は?」

「じゃあ特製カルビとご飯の小で」

「はーい。理緒ちゃんって言うんだね。紹介遅れましたが、ここのオーナーの朝文(あさふみ)っていいます。よろしくね~」


朝文さんが厨房に行って、静かになった店内。


「この店、“みなみ”って言うんだけどな。あーちゃんの初彼であり今の奥さんの名前なんだ。あの人軽そうに見えて、みなみさんのことずっと想ってんの」

「最初で最後の女ってことかぁ…すごいなぁ」

「そうそう。おれ、あーちゃんに憧れてんの。」

「かっこいいし一途なら誰だって惚れちゃうよ」



< 119 / 130 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop