本気で大好きでした。
「どっかご飯食べに行く?」
「行く~! おれマッハで来たから腹ペコ。」
「何食べたい?」
「腹にたまるもの」
「肉とか?」
「焼肉食べたい。お腹すいた。早く行こう、理緒」
「はいはい。」
そう言った彼方に連れてこられた、小さな焼肉屋さん。
席は6つほどで、他にお客さんもいない静かなお店。
「おぉ!誰かと思えば彼方!今日は彼女と?」
彼方の知り合いなのか、親しげに話しているエプロン姿のイケメンのお兄さん。
「ん~それは内緒」
正直、なにを考えているのかわからないや。
けど、ほんの少しだけ、「彼女だよ」の答えを期待しているあたしがいた。
「彼方、ちいは元気?」
「あぁ、まあな~」
「とか言って~。お前たち兄弟仲良くないもんな」
“ちい”って千聖さんのことか。
「あーちゃん、とりあえず腹減ったからあーちゃんスペシャルとご飯大盛りで!理緒は?」
「じゃあ特製カルビとご飯の小で」
「はーい。理緒ちゃんって言うんだね。紹介遅れましたが、ここのオーナーの朝文(あさふみ)っていいます。よろしくね~」
朝文さんが厨房に行って、静かになった店内。
「この店、“みなみ”って言うんだけどな。あーちゃんの初彼であり今の奥さんの名前なんだ。あの人軽そうに見えて、みなみさんのことずっと想ってんの」
「最初で最後の女ってことかぁ…すごいなぁ」
「そうそう。おれ、あーちゃんに憧れてんの。」
「かっこいいし一途なら誰だって惚れちゃうよ」