君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】
「兄はLIVEの準備に出掛けるって、朝早くに家を出ましたよ」
すかさず答えたのは隆雪の弟。
「あぁ、隆雪は少し用事があってその後に来るって俺のところに連絡あったよ。
裕真兄さんたちの召喚」
託実が答えたその名前に俺たちの時代の最高総であり、俺自身のグランデューティーでもある伊舎堂裕の弟の名を出されて納得した。
伊舎堂裕真。
裕先輩の弟で、神前悧羅学院悧羅校内で知らないものはいないトップ経験者。
そして……俺が可愛がってもらってたデューティー光輝の親友。
託実や隆雪にとっては自らのグランデューティ-となる存在。
先輩の呼び出しじゃ、遅れるのも無理ないか。
そんな風に自分の中で納得して、会場へと向かう支度をすすめる。
「じゃ、先に俺たちも行こうか?
雪貴、隆雪の代わりにリハの時だけ手伝ってくれるか」
「大丈夫です。
Ansyalの曲は一通り全部演奏できますから」
車に乗り込んだ俺たちはスタッフと一緒に会場入りをして、
ステージ設置の最終確認に奔走する。
機材車から運び出したドラムセットをケースから出して、
全て組み上げていく。
セッティングが終わった後に尊夜は遅れて姿を見せた。
そのまま照明の打ち合わせ、雪貴協力の元リハーサルを終えても、
隆雪はまだ姿を見せなかった。
幾ら先輩の呼び出しでも、遅すぎるだろう。
LIVE当日だぞ。
そんなことを思いながら、
楽屋でほっと一息、携帯電話を取り出すとメールの受信マークを見つける。
*
おはよう、紀天。
いよいよ、今日だね。
今日のLIVE、雪だけどやるのかな?
晃穂
*
紀天、今日はクリスマスイヴね。
そしてAnsyalのメジャーデビュー1周年ね。
尊夜と、バンドのメンバーの方と一緒に
素敵な一夜にしてくるのよ。
睦樹さんがチケット取ってくれたの。
一緒に遊びに行くわね
咲空良
*
っと2通のメールを読み終える。