~宿命~
明隆:「水和、逃げろっ!」
彼女の背中を押し、振り返った。
その途端、すれ違った奴等は背中に【心】とほどこしてあるリーダーっぽい奴の言葉に従った。
リーダー:「気付かれた!逃がすなっ!」
敵は8人。こっちは1人。
いくら戦い慣れしていても捕まればどうなるか分からない。
それに、奴等だってただの不良とは違う。
どんな訓練しているか分からない。
俺らを狙うぐらいだから相当腕に自信があるのだろう。
俺は立ちすくんだ水和に背を向け、庇(かば)うようにして戦った。
やはり相手は手強い。
最前列にパンチが得意な奴を2人置き、その後ろの2人が左右から蹴りで補助攻撃を仕掛けてくる。
水和には当てささなかったが、俺はかなりのダメージを受けた。
日頃の行いが悪いからだと思った。
こめかみを殴られる度に顎が外れそうなくらいの激痛が走り、横っ腹を蹴られるとあばらが悲鳴をあげ、吐き気をもよおす。
だか、水和を確認する度に安居の顔を思い出す。
不良に絡まれた時のあの表情…全く同じ顔をしていた。
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