~宿命~
部屋のあちらこちらに毛虫がムニムニ動いており、特に一つしかない窓に毛虫が集中して群がっていた。
遠くからではカビに見えるほどの数だ。
原因は窓の外に生えている桜の木が原因だった。
今まで使ってなかったから誰も気づかず、窓も開ける必要がなかった為、このような事態を予測できなかったのだ。

やむを得ず廊下に出された家具を全て俺の休憩部屋へ運んでいく。
タンス・机・本棚・化粧机意外の小物を運び終えた。
明隆:「おい!起きてくれな入れられへんやろ!」
一応、女の子なので優しくゆする。
水和:「もぉ~。やめてよねぇ~っ!」
眉間(みけん)にシワを寄せて寝返りを打つ。
明隆:「なんやてぇぇぇ!」
人が優しく起こしてあげようとしているのにこの態度は気に食わなかった。
明隆:「んじゃさっさと起きろっ!ボケッ!」
俺は水和の敷き布団を巨大なテーブルクロス引きをするかのように力一杯引っ張った。
水和の体は少し宙に浮きながらグルグルと回転し、畳の上へ落ちた。
水和:「痛った~。…フン…フン…痛い…フンフン…」
彼女は突然の出来事にビックリして泣いてしまった。
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