~宿命~
第33章 旅館で鬼ごっこ 後編
水和:「何でそう優しくするの?」
明隆:「優しくしてない。本心を言っただけだ。」
水和:「分かってる。これからは兄弟目線で扱う。」
明隆:「扱うって俺は物か。」
水和:「物だったらいいのにね…じゃあ、最後のけじめとして抱いてくれる?」
明隆:「バカ!それこそ終わりやっ!」
水和:「違うわよ!抱き合うだけ。」
明隆:「紛らわしい言い方しやがって。分かった。でも、それで諦めるんやぞ?」
水和:「分かってる。」
水和の腕が俺の背中で交差し、俺もそれに応えるように腕をまわした。
水和:「好きになれてよかった。ありがとう。」
明隆:「なんもしてないけどな。」
時間が止まっているように感じた。
明隆:「さぁ、もう終わり。」
俺が手をおろし、水和が腕を解く。
普段話す時と同じ距離を取る為に一歩下がろうとした。
水和は俺が逃げると勘違いしたのか腕を俺の首にまわし、唇を重ねてきた。
水和の胸の鼓動が伝わってくる。
かなり早かった。
俺は水和の肩をそっと押した。
水和:「へへへっ。キスしちゃった。さっ、作戦作ろう!」
切り替えの速さに驚かされた。
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