~宿命~
契約書に目を通すと、いくつかの項目に目が止まる。
《一つ、部外者に危害を加えない事。一つ、無暗に組織の名を外部に教える事。一つ、読み終えた使命用紙は焼却処分する事。一つ、標的を殺めない事。一つ、個人的感情で判断しない事…》
明隆:「なんやねん…これ。あのオッサン、ヤクザ者やったんか。断ろ。」
体内で恐怖心がゴポゴポと音を立てて込み上げるのを感じた。
俺は契約書をグチャグチャに丸め、ズホンのポケットにねじ込んで家へと帰って行った。


翌日、約束通り夜の9時に公民館の前に行った。
オッサンは一足早くきており、時計を気にしている。
明隆:「よぉ。待たせたか?ヤクザ。」
オッサン:「ヤクザ?…という事は読んでくれたんだね。それでもき…」
明隆:「断る!俺はヤクザのやり方は気に食わねぇ。」
オッサンの話をカットし、ポケットからクシャクシャに丸めた契約書を取り出した。
オッサンは嫌な顔ひとつせず、笑顔で答えた。
オッサン:「君は誤解しているようだが、僕達はヤクザでもなければマフィアでもないよ。危険にさらされた人達を助ける秘密結社なんだ。特別にこれを見せてあげるよ。」
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