放課後ラプソディ
 僕が星野の前を通り過ぎようとすると、

「あ、ねえ、いっしょに帰ってもいい?」

 どうした星野。夏のせいか。

 不意に顔がずきっと痛みだした。

「いや、やめとく。誰に見られるかわからないし」

 それより、顔の腫れが気になった。まだ痛い。

「不良になってもいいことないもんね」

 力なく明るい星野さんの笑顔。

「そうだよ」

 六坂に殴られた左の頬を、ちょっと左手で触ってみた。指で軽く触れると、内出血したところを押したような、うっすらとした痛みがあった。少し熱があるような。赤くなったか……。

「ねえ、なんだか……」

 いつからだろう、星野が僕の顔をまじまじと見ていた。視線は、ちょうど左の頬のあたり。あ、これは気づかれる。

「赤くない?」

 星野はそう言って、自分の左の頬を右手の人差し指でさした。
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