放課後ラプソディ
 考えたところで、答えなんて出ないに決まっている。

「ぼうっとしすぎだよ、緋村」

 思わずはっとした。そういう六坂は、この状況にそぐわないほど妙にいつも通りなんだけど。

 普通、家族に異変があったら、もっと動揺するものじゃないの? ただ、なんだろう、六坂はこうなることを予測していたかのような落ち着きがある。それとも、男だから、あたしたちに弱い部分を見せたくないとか。それは、ちょっと待て。だったらあたしや霧恵をここに連れてこないだろう。「すぐ帰らないといけなくなったから」とか言って、あたしたちになにも言わずに病院に駆けつければいいじゃないか。

 廊下を歩いていると、六坂がドアの前でいきなり立ち止まった。あたしと霧恵も、いきなりだったけど足を止める。この部屋がそうなのだろう。
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