偽りの婚約者
「痛いから放してください」
そう言われて掴んでいた手を放す
加減したつもりが手首には、掴んだ跡がしっかりと残っていた。
「乗れっ!」
赤信号で止まるとドアに手を伸ばす千夏が目の端に写った。
「今、降りたらケガするぞ。もう信号も変わる」
諦めたのか千夏がシートに座り直している間にドアをロックした。
残念だったな逃がさねぇよ。
「逃げようなんて、考えるなよ」
マンションに着き駐車場に車を止めた。