偽りの婚約者
「それが、良く分からない内に復讐をやめたって話しになったんです」
「そうなの……」
今さらだけど私に何をさせたかったのか。
一度お姉ちゃんと旦那さんの事を訊かれて復讐に関係あるのかと思ったけど、それっきりだったし……。
「やっぱり、引っ掛かる事があるんじゃない?」
「え?」
「めずらしく難しい顔をして考え込んでるわね。
何か思い付いたんじゃないの?」
さすが紗季さん鋭い。
「言ってみてよ。何か分かるかもしれないし」
どうしてお姉ちゃん達の事を訊いてきたのか気にはなっていたけど関係がないかもしれないし私は東條さんを信じたい。
こんな事を蒸し返しても何にもならない。
「勘違いでした。やっぱり分からないです」