偽りの婚約者


「嘘よね?言って」



「……やめませんか?今さらこんな話し……」



「疑問に思ったことは、そのままにしておくと後に響く事もあるのよ」



「そんな、たいしたことではないと思うし……きっと関係なんてないんです」



「千夏っ、言って」



私がやめてほしいと言っているのに、どうして紗季さんは執拗に訊いてくるの?




「東條さんは私のお姉ちゃんと旦那さんの事を訊いてきただけなんです。お姉ちゃん達とはまだ会ってないから気になったみたいで……。
本当にそれだけなんです」


きっと、私の思い過ごしだと思う。



「……そう千夏のお姉さんの事を……。
関係ないかもしれないわね。ごめんね、しつこく訊いてしまって」



「分かって貰えたんだったら、良いです」



「でも、やっぱり東條君は怪しいと思う。気をつけなさいよ」



< 162 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop