偽りの婚約者
戸惑い



あれから東條雅人からは定期的に連絡があって、一緒に出掛けて過ごす日々が続いた。



《今度の日曜日ドライブに行くか?》


まるで親しい友人か恋人と出かけるような言い方。
仕事帰りに何回か会って、あの人の行きつけのお店で食事をしたり休みの日に映画とかドライブに誘われることもあった。


私を利用する事に罪悪感を感じて誘ってくれているのだろうか?これも復讐の為のものなのか分からない。
きっと時期が来たら、何らかの指示があるのだと。
今、私に出来ることは東條さんからの指示を待つことだけなのだろう。



そして、待ち合わせの場所に着き、辺りを見渡すと。




待ち合わせ場所には高校生ぐらいの女の子が立っていて。
時々、持っているスマホから顔を上げては誰かを待っているようだった。



私も自分の携帯を出して時間を確認すると約束した時間よりも早めについてしまったようで、もう少し待たないと行けない。



暫くすると高校生くらいの男の子が、こちらに歩いて来た。
もしかして、この女の子の相手なのかもしれない、そう思っていると男の子が名前を呼び女の子が顔を上げて嬉しそうに駆け寄って行く。



腕を組んで歩いて行く二人を羨ましく思い、ごく自然に目で追ってしまった。




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