HELP
 「どういう意味?」
 訝る鈴音は、その一言を放たざるを得ない。
「意味はない。が、その通り」
 腰を屈め、散乱した荷物類を拾いながら男は手を止め、触れてはいけないぐらい白光りする高級そうな歯並びをのぞかせた。遊びの効いたくしゃとした白シャツに黒のVネックのインナー。ひきしっまった身体はジムにも通っているのかもしれない。革靴はよく磨かれ、一切の汚れはない。もしかしたら新品かもしれないし、そうでないかもしれない。しかし、手入れが行き届いていることは明白だった。
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