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 「それはね」
 父が母を見つめる。母はどこか恥ずかしそうにしている。目元に皺を寄せ、口元を手で押さえている。数秒待っても母は言葉を発しない。元来が照れ屋であり、読書を好む。性格的には母の血筋を受け継いでいる、と鈴音は思っている。
「出会ったらしいよ」
 弟のユウマが言った。四つ下。バンド活動に明け暮れているが、芽がでることはないだろう、と鈴音は思っている。音痴だからだ。
「どういうこと?」
 と鈴音。
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