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 「とりあえず試用期間でお互いの関係を構築していきましょう」
 胡桃は強気と半ばやけくそが折り混ぜになった声音を放つ。
 気圧される形で体勢が後ろに仰け反った銀次は、「大変よくできました」と体勢を立て直し、その反動を使い、胡桃の首筋に唇を触れた。
「首筋に唇で触れるのが好きなんだ」
 銀次はとろっとした目を見せた。これが彼の本来の目ではないか、と胡桃が見間違う程に色気が漂っていた。胸が高鳴り、その後の展開が容易に想像できた。
 が、違った。唇に触れると思いきや、もう一度、首筋に唇を這わせた。さっきは右、今度は左。もう一度、右。もう一度、左。
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