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 その後、鳥男は左頬を押さえながら、一号車へ向けて歩みを進めた。彼の後ろ姿を眺めながら絹枝が、「私に若いエキスと温もりを」とエステコマシャールの謳い文句のようなことを小声で囁いていた。気づけば、老夫婦は自席に戻り、あたりめを貪っていた。だからか四号車には何とも異様な臭いが充満していた。
 ああ、そうか、洗浄が必要だ。
 梨花は水鉄砲を取り出し、再び絹枝に狙いを定めた。
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