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 「はあ」
 自宅に帰ってからのいつもの癖を胡桃はアロマを調合しながら漏らした。
「あら、胡桃さん。溜め息なんかついて、らしくないわね」
 常連だる絹枝がいった。一児の母だ。毎回息子自慢をし、二日に一回はサロンに顔を出す常連である。彼女の顔には化粧が厚手のカーテンのように張られ、四一歳という年齢にそぐわない細身の体型維持努力は並大抵のものではないだろう。
「溜め息つくの、癖なんです」と胡桃は誤摩化し、「絹枝さん、たまに予約をキャンセルする日がありますけど、何か特別な用事が突発的な入るときでもあるんですか?」と話題を変えた。
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