ノスタルジア
「ひ、人が来る!」
「そりゃあ来るよ。通学路だし」
しきりに照れる彼女は、早く早くと彼の背中を押してその場から立ち去りたがる。
そんな様子を、男は面白そうに笑う。
「いつもは強気なくせして、こんなときはそういう顔するんだ」
「変な顔とでも言いたいの?」
「いいや。言わないさ、キミは僕が知っている人のなかで一番綺麗だから」
「……! またそんな歯の浮くような台詞を!」
「だって本当だから」
黙りこむ女の子。
きっと自分の背を押しながら照れているのだと、男は何だか嬉しそうに歩き出した。