初恋
本当の気持ち
本当の気持ち

数日間、私は仕事に没頭していた。

みんなが嫌がる仕事を引き受け、残業も自ら買って出た。
そうやってなるべくひとりになる時間を失くしていた。

時間ができれば嫌でも考えてしまうから。

これからの景と私の事。

そして


東吾の事。




東吾の事は諦めたつもりだった。

もう私の好きな東吾はどこにもいない。

そう思っていても、ふっとした時に思い出すのは東吾のあの淋しそうな笑顔。
懐かしい、愛おしい昔の東吾ではなく、あの時の東吾の姿だった。



考えなくてはいけない景との関係は、考えても考えてもどうしていいか分からず

考えたくない東吾の事は、嫌でも頭から離れてくれない。


そうして私は、結局現実から目を背けることに没頭していた。








週末、由香から電話が掛かってきた。

『あんた、いつになったら時間作ってくれるのよ』

そういえば、以前由香から掛かってきた電話をそのままにしていた事を思い出した。

「ごめん、仕事忙しくて・・・」
『なら仕方ないけど、明日は会社も休みでしょ？』
「うん」
『なら、駅前のカフェに１時に待ち合わせ。いいわね？』　

由香の相変わらずの強引な誘いに苦笑しながら了承して電話を切った。

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