・*不器用な2人*・(2)
体育館裏
「明日の試験休みさ、予定通りモールで良いかな」
屋外階段を降りながら浅井君に確認をされ、梶君が頷く。
「高3にもなると、試験だってイベントの1つみたいな感じだよね。
淳とか浅井には理解しがたいかもしれないけれど」
梶君が茶化すように言うと、淳君と浅井君がムッとしたように顔を伏せた。
そんな和やかな空気を黙させるように、鈍い音は体育館裏に響いた。
私の横を歩いていた淳君がパッと足を止め、それに続くようにしてすべての足音が止まった。
彼の視線を辿って行った先に、バスケ部員3人の姿が見えた。
階段の影となってしまっているその場所は、丁度死角となって見つけにくい。
「何してるの淳、早く行くよ」
彼らに気付いていなかっためぐちゃんが、明るい声でそう言った。
めぐちゃんに続いて、ゾロゾロと皆は校門を抜けて行く。
「綾瀬、あいつらと面識ある?」
淳君に言われ、私はもう1度3人を見る。
アッシュに染めた髪を後ろにくくった男子は、持田君。
明るい茶髪をポニーテールに結わえた長身の男子は、先日練習中に3年生から怒鳴られていた赤坂君。
そして、赤坂君に馬乗りされ、地面に倒れ込んでいるのが、城島君だった。
赤坂君が馬乗り状態のまま腕をねじり直すと、城島君の悲鳴がハッキリと聞こえた。
「声出すなっつったろ」
立ったまま2人を見下ろしていた持田君は、城島君の髪を乱暴に引っ張ると、顔を上げさせる。
「日本語通じないんだっけ。
バカだから」
バカにしたような赤坂君の言葉に、持田君が「そっか」と笑った。
立ちあがった持田君は大きく伸びをし、赤坂君と目を合わせると肩を竦める。
そして、間髪入れずに城島君の顔面をサッカーボールのように蹴りあげた。
屋外階段を降りながら浅井君に確認をされ、梶君が頷く。
「高3にもなると、試験だってイベントの1つみたいな感じだよね。
淳とか浅井には理解しがたいかもしれないけれど」
梶君が茶化すように言うと、淳君と浅井君がムッとしたように顔を伏せた。
そんな和やかな空気を黙させるように、鈍い音は体育館裏に響いた。
私の横を歩いていた淳君がパッと足を止め、それに続くようにしてすべての足音が止まった。
彼の視線を辿って行った先に、バスケ部員3人の姿が見えた。
階段の影となってしまっているその場所は、丁度死角となって見つけにくい。
「何してるの淳、早く行くよ」
彼らに気付いていなかっためぐちゃんが、明るい声でそう言った。
めぐちゃんに続いて、ゾロゾロと皆は校門を抜けて行く。
「綾瀬、あいつらと面識ある?」
淳君に言われ、私はもう1度3人を見る。
アッシュに染めた髪を後ろにくくった男子は、持田君。
明るい茶髪をポニーテールに結わえた長身の男子は、先日練習中に3年生から怒鳴られていた赤坂君。
そして、赤坂君に馬乗りされ、地面に倒れ込んでいるのが、城島君だった。
赤坂君が馬乗り状態のまま腕をねじり直すと、城島君の悲鳴がハッキリと聞こえた。
「声出すなっつったろ」
立ったまま2人を見下ろしていた持田君は、城島君の髪を乱暴に引っ張ると、顔を上げさせる。
「日本語通じないんだっけ。
バカだから」
バカにしたような赤坂君の言葉に、持田君が「そっか」と笑った。
立ちあがった持田君は大きく伸びをし、赤坂君と目を合わせると肩を竦める。
そして、間髪入れずに城島君の顔面をサッカーボールのように蹴りあげた。