・*不器用な2人*・(2)
試験終了のチャイムが鳴り、私たちは解答を保健医さんに渡して保健室から出た。
「また、一緒に受けることになるかもね……」
安藤さんにそうゆっくりと言われ、私は少しだけ胸が痛くなりながらも頷いた。
今回の試験でもしもカンニングが証明されたら、私か清水さんのどちらかが汚名を着せられることとなる。
そして、多分次も私はここでの受験だ。
「そうだね。桜庭さんも」
私が話を振ると、帰りかけていた桜庭さんは慌てて振り返り、私たちに向かってVサインを突き出して来た。
子どものように顔を崩して笑うと、彼女は何も言わずに校舎から出て行った。
HRは昨日のように既に終わってしまっていて、淳君だけが残っていた。
「掃除、野球部が手伝ってくれるってさ」
ケータイをポケットにしまい、淳君は教室から出てくる。
「みんな部活行かなくて大丈夫なの?」
サッサと歩いて行こうとする彼を追いながら訊ねると、淳君は振り向かないまま「大丈夫」と答えた。
「校内1緩い運動部だから。
試験終わって1週間は部活がないらしい」
体育館からはすでにボールの弾む音が聞こえてきていて、私たちは外側の階段から2階へと上がった。
観客席に座っていた梶君たちは、私を見ると「久しぶり」と目を細める。
「綾瀬が来る前に大体片しちゃった」
壁に立てかけてあった掃除道具を回収しながらめぐちゃんが笑う。
「今日も練習あるなんてすごいよね、バスケ部」
隅の方に座っていた梶君がボソッと小声で言うと、野球部員全員が大きく頷く。
「ていうか、2年生ばっかだね」
続けて浅井君がボソッと呟くと、野球部全員が1階を見下ろす。
「3年は練習せずに指導とか言ってふんぞり返ってるだけだし、1年は試合に出させてもらえる訳でもないから。
2年が1番熱心なんじゃない?」
そんなことを言いながら、私たちは帰り支度を始めた。
「また、一緒に受けることになるかもね……」
安藤さんにそうゆっくりと言われ、私は少しだけ胸が痛くなりながらも頷いた。
今回の試験でもしもカンニングが証明されたら、私か清水さんのどちらかが汚名を着せられることとなる。
そして、多分次も私はここでの受験だ。
「そうだね。桜庭さんも」
私が話を振ると、帰りかけていた桜庭さんは慌てて振り返り、私たちに向かってVサインを突き出して来た。
子どものように顔を崩して笑うと、彼女は何も言わずに校舎から出て行った。
HRは昨日のように既に終わってしまっていて、淳君だけが残っていた。
「掃除、野球部が手伝ってくれるってさ」
ケータイをポケットにしまい、淳君は教室から出てくる。
「みんな部活行かなくて大丈夫なの?」
サッサと歩いて行こうとする彼を追いながら訊ねると、淳君は振り向かないまま「大丈夫」と答えた。
「校内1緩い運動部だから。
試験終わって1週間は部活がないらしい」
体育館からはすでにボールの弾む音が聞こえてきていて、私たちは外側の階段から2階へと上がった。
観客席に座っていた梶君たちは、私を見ると「久しぶり」と目を細める。
「綾瀬が来る前に大体片しちゃった」
壁に立てかけてあった掃除道具を回収しながらめぐちゃんが笑う。
「今日も練習あるなんてすごいよね、バスケ部」
隅の方に座っていた梶君がボソッと小声で言うと、野球部員全員が大きく頷く。
「ていうか、2年生ばっかだね」
続けて浅井君がボソッと呟くと、野球部全員が1階を見下ろす。
「3年は練習せずに指導とか言ってふんぞり返ってるだけだし、1年は試合に出させてもらえる訳でもないから。
2年が1番熱心なんじゃない?」
そんなことを言いながら、私たちは帰り支度を始めた。