・*不器用な2人*・(2)
LHRの議題は球技大会について。

淳君が参加するようにと私に伝えた理由が理解できた。

「3年生はバスケとドッジボール、それから卓球があります」

担任がプリントを読み上げている間にクラスの書記が黒板へと種目を羅列していく。

「それから、各種目の審判という役割があり、これは種目としてカウントされます」

審判という言葉に、教室がざわついた。

それはドッジボールで言う初外野を意味するもので、最初から参加の意志のない生徒が立候補するべきものだった。

また、他推の場合は「戦力外」という意味も持ち、どちらにせよ不名誉極まりないもの。

しかも他学年の監視というのは、普通に競技参加をするよりも体力的にキツいものだった。

私がキュッと唇を結んだ時だった。

まるで私の考えを見透かしたかのように、教室の隅に固まって座っている女子たちが「風野さんさー」と声を上げた。

「どうせ球技大会の間とかも勉強してたいんでしょ?
審判やりなよ」

胸が大きく波打ち始め、思考に霧がかかりだす。

歓迎されていないということや、このクラスに馴染んではいけないということを一気に悟らされる。

「女子の審判って屋内競技だけじゃなかった?」

誰かが思いついたように言うと、先ほどの女子たちが「じゃあバスケ!」と明るい声で言った。

「2年の男バスの審判やれば良いじゃん!
あそこのコートなら特にやることないし、簡単でしょ?」

そう言いながら女子たちが此方へと視線を向ける。

断らないよな?という念を押すように睨みつけられ、私は小さく頷いた。

「2年の男バスとか、嫌がらせじゃん」

誰かがケラケラと笑うのが、何処かから聞こえた。
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