・*不器用な2人*・(2)
「城島君、君ってスポーツ推薦で松林に入ったんだね……」
梶君が名簿を見てパッと目を見開く。
松林のスポーツ推薦は中学の時に余程の結果を残していないと入学できないという狭き門なのだ。
部活動では重宝視され、1年の春から試合に出してもらえるというのは有名な話だった。
「バスケは小学校の時からやってたから、中学でも勉強そっちのけで頑張ったら入れちゃったんだ。
だから高校の勉強は全ッ然ついてけないんだけどさー」
屈託のない笑顔で言う城島君につられ、梶君もやんわりと表情を和らげる。
「そっか、君見るかにバカっぽいもんね」
そう言いながら梶君がガッシリと城島君の肩を掴む。
「敬語、喋れてないもんね」
笑顔のまま梶君に言われた城島君が表情を軽く引き攣らせる。
「敬語苦手なんだよ俺―……。
敬語よりタメ口の方が短く喋れるじゃないか……」
視線を泳がせながら城島君は梶君の手に自分の手を重ねる。
「それより、何か用事なんだよね?」
城島君に視線を向けられて、私は慌てて頷く。
「あのね、1年の子がバスケ部から野球部に転部したいんだって。
それでその子の代わりに私たちが全クラス回って許可をとっているんだけど。
城島君も許可してくれないかな?」
私の言葉に、城島君がフッと動きを止めた。
彼の顔から徐々に笑顔が消えていくのが見ていてハッキリと分かった。
「許可できない……?」
梶君がそっと手を離しながら城島君に言う。
「いや、許可はするけど……」
城島君は歯切れ悪くそう言って、頬を掻く。
「転部希望者、本当に多いんだね」
城島君が困ったような笑みを浮かべると、梶君もゆっくりと頷いた。
「バスケ部は上下関係が厳しいのに対して野球部は礼儀なんてほとんどあってないような部活だから」
名簿に丸印を打って、梶君はそう言った。
梶君が名簿を見てパッと目を見開く。
松林のスポーツ推薦は中学の時に余程の結果を残していないと入学できないという狭き門なのだ。
部活動では重宝視され、1年の春から試合に出してもらえるというのは有名な話だった。
「バスケは小学校の時からやってたから、中学でも勉強そっちのけで頑張ったら入れちゃったんだ。
だから高校の勉強は全ッ然ついてけないんだけどさー」
屈託のない笑顔で言う城島君につられ、梶君もやんわりと表情を和らげる。
「そっか、君見るかにバカっぽいもんね」
そう言いながら梶君がガッシリと城島君の肩を掴む。
「敬語、喋れてないもんね」
笑顔のまま梶君に言われた城島君が表情を軽く引き攣らせる。
「敬語苦手なんだよ俺―……。
敬語よりタメ口の方が短く喋れるじゃないか……」
視線を泳がせながら城島君は梶君の手に自分の手を重ねる。
「それより、何か用事なんだよね?」
城島君に視線を向けられて、私は慌てて頷く。
「あのね、1年の子がバスケ部から野球部に転部したいんだって。
それでその子の代わりに私たちが全クラス回って許可をとっているんだけど。
城島君も許可してくれないかな?」
私の言葉に、城島君がフッと動きを止めた。
彼の顔から徐々に笑顔が消えていくのが見ていてハッキリと分かった。
「許可できない……?」
梶君がそっと手を離しながら城島君に言う。
「いや、許可はするけど……」
城島君は歯切れ悪くそう言って、頬を掻く。
「転部希望者、本当に多いんだね」
城島君が困ったような笑みを浮かべると、梶君もゆっくりと頷いた。
「バスケ部は上下関係が厳しいのに対して野球部は礼儀なんてほとんどあってないような部活だから」
名簿に丸印を打って、梶君はそう言った。