・*不器用な2人*・(2)
城島君が教室へと入ろうとするのを、梶君が慌てたように呼び止めた。
ドアにかけた手を直ぐに引いて、城島君は振り返る。
「おまえ、昨日すごい遅くまで残ってたよな」
梶君の言葉に城島君が目を見開く。
「スポーツ推薦だからって、そこまで頑張ることはないんじゃないか。
消灯時間や施錠時間が過ぎてから校内に残っていると、万一の時とかに困るだろうし……。
おまえの手、すごく見栄え悪い」
梶君は素早く伸ばした手で城島君の手首を掴むと、私の方へと向ける。
城島君は目を丸くしたまま梶君から私へと視線を動かした。
「そこまで酷くはないと思うよ」
2人に向かって答えてはみたものの、城島君の手を綺麗だとはとても思えなかった。
「昨日は、俺途中で部活抜けちゃったんで……。それで夕方にまだ体育館に戻って練習してたら変な時間になったってだけで……。別にそんなに頑張ってないよ」
城島君は梶君の手を払わないまま困ったように言う。
「でも、その前の日もお前1人だけ遅くまで残ってたじゃん」
梶君がたたみかけるように言うと、城島君は今度こそ黙り込んでしまった。
体育館から聞こえてきたボールの弾む音を思い出した。
「推薦枠で入ったけど、俺よりもっとすごい人たちいるんだよ。
絶対にレギュラーに入れるからって俺だけ手抜いてたら失礼だと思ったし……それに一昨日も俺だけ練習時間がちょっとずれてたから」
城島君がそこまで言い掛けた時だった。
ドアにかけた手を直ぐに引いて、城島君は振り返る。
「おまえ、昨日すごい遅くまで残ってたよな」
梶君の言葉に城島君が目を見開く。
「スポーツ推薦だからって、そこまで頑張ることはないんじゃないか。
消灯時間や施錠時間が過ぎてから校内に残っていると、万一の時とかに困るだろうし……。
おまえの手、すごく見栄え悪い」
梶君は素早く伸ばした手で城島君の手首を掴むと、私の方へと向ける。
城島君は目を丸くしたまま梶君から私へと視線を動かした。
「そこまで酷くはないと思うよ」
2人に向かって答えてはみたものの、城島君の手を綺麗だとはとても思えなかった。
「昨日は、俺途中で部活抜けちゃったんで……。それで夕方にまだ体育館に戻って練習してたら変な時間になったってだけで……。別にそんなに頑張ってないよ」
城島君は梶君の手を払わないまま困ったように言う。
「でも、その前の日もお前1人だけ遅くまで残ってたじゃん」
梶君がたたみかけるように言うと、城島君は今度こそ黙り込んでしまった。
体育館から聞こえてきたボールの弾む音を思い出した。
「推薦枠で入ったけど、俺よりもっとすごい人たちいるんだよ。
絶対にレギュラーに入れるからって俺だけ手抜いてたら失礼だと思ったし……それに一昨日も俺だけ練習時間がちょっとずれてたから」
城島君がそこまで言い掛けた時だった。