・*不器用な2人*・(2)
石田君が出て行ってから、私は保健医さんの向いに腰をおろした。
「城島陽人君って、分かりますか」
私が言うと、保健医さんは「2年の子だよね」と答えた。
「さっき会ったんですけど、梶君がなんかすごく気にしてたんです。
手の見栄えが悪いって」
保健医さんはキーボードを打つのを止めて、「手?」と眉をひそめた。
「私、手はあまりよく見てないから分からないんだけど……。
顔色もよくないし不健康な感じではあるかもしれないかなぁ」
「よく来るんですか?
保健室」
私が訊ねると、保健医さんは来室記録を手に取ってペラペラとめくる。
「ううん、そんなに頻繁に来たりするような子ではないよ。
体育とか部活の時に怪我が多くて、たまに消毒しに来るくらいかな」
「バスケ部だと、突き指とか……?」
あまりやったことのない競技なので想像で言うと、保健医さんに「違う違う」と笑われてしまった。
「練習中に部員の指が目の中に入っただとか、肘が顔に当たって鼻血が出たとか、そういう類だよ。
タフな子だから突き指とか捻挫は我慢できちゃうんじゃないかな」
――目の中に指……?
先日の休み時間、淳君と一緒にいた時に城島君と会ったことを思い出す。
『目にゴミが入っちゃって』と言いながら目を激しく擦って淳君に止められていた。
「目の中に指って、痛いですよね」
私はつい目をそっと覆ってしまった。
「まぁ、異物感が残っちゃってちょっと気持ち悪いよね。
でも、そういう競技だからってあの子たちも割り切ってると思うよ」
「城島陽人君って、分かりますか」
私が言うと、保健医さんは「2年の子だよね」と答えた。
「さっき会ったんですけど、梶君がなんかすごく気にしてたんです。
手の見栄えが悪いって」
保健医さんはキーボードを打つのを止めて、「手?」と眉をひそめた。
「私、手はあまりよく見てないから分からないんだけど……。
顔色もよくないし不健康な感じではあるかもしれないかなぁ」
「よく来るんですか?
保健室」
私が訊ねると、保健医さんは来室記録を手に取ってペラペラとめくる。
「ううん、そんなに頻繁に来たりするような子ではないよ。
体育とか部活の時に怪我が多くて、たまに消毒しに来るくらいかな」
「バスケ部だと、突き指とか……?」
あまりやったことのない競技なので想像で言うと、保健医さんに「違う違う」と笑われてしまった。
「練習中に部員の指が目の中に入っただとか、肘が顔に当たって鼻血が出たとか、そういう類だよ。
タフな子だから突き指とか捻挫は我慢できちゃうんじゃないかな」
――目の中に指……?
先日の休み時間、淳君と一緒にいた時に城島君と会ったことを思い出す。
『目にゴミが入っちゃって』と言いながら目を激しく擦って淳君に止められていた。
「目の中に指って、痛いですよね」
私はつい目をそっと覆ってしまった。
「まぁ、異物感が残っちゃってちょっと気持ち悪いよね。
でも、そういう競技だからってあの子たちも割り切ってると思うよ」