・*不器用な2人*・(2)
「家族なんだね」

私が言うと、井方君は肩をすくめて笑う。

「家族ですよ」

オウム返しのようにそう言って、彼は体育館へと入って行った。

見た目が綺麗だし言葉も短いから、冷たい子なのかと思っていた。

――井方君は喋るのが遅い。

覚えておこうと思い、何度か心の中で唱えてみた。

また彼と喋る機会がどこかであればいいなと、少しだけ思った。
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