冷酷社長の極上の愛
【宗吾side】

それから幾日も過ぎ、

亜紀に頼んでいた、亜紀の母と会うと言う約束。

未だに、それは叶わないでいた。

・・・

亜紀の母は、よほど私に会うことが、

嫌なのか、理由をつけては、

断られていた。

・・・

そんな時だった。

会社のロビー。

取引先に出向こうと、玄関に向かって歩いていると、

見覚えのある顔がそこにあった。

・・・

少ししわがあるが、

綺麗な顔立ちで、亜紀にそっくりな目や口元。

背はあまり高くはないようだが、

背筋をぴんと伸ばして歩くその姿は、

どこかの婦人だろう。

・・・というか、あれは、明らかに、

亜紀の母親だと分かった。

・・・

まだ時間があった私は、

亜紀の母に向かって足早に歩き出していた。

「亜紀のお母さま」

私の言葉に、その夫人の足はピタッと止まった。
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