続・鉢植右から3番目
私は普通の学生生活を送っていたからそうでもないけど、ヤツは生徒会長をしていただけあって、大体の人が顔を知っているらしかった。中には過去に何かあったか「お前!よく来たなあ!」と背中を思いっきり叩いている人たちもいる。
・・・・歓迎、にはあまり見えないけど。
「ねえ、君さ、生徒会時代に何か恨み買うことでもしたの?」
ちょっと腑に落ちなくて近づいて聞いてみると、うーん?と首を傾げていた。
・・・無自覚で、何かやったのかもね。そういうことは大いに有り得るよな。この男の場合は、他の人より大いに有り得る。
お手洗いを済ませてから会場に入っていくと、窓際から声が飛んできた。
「都ー!!」
「あ、奈緒が居た」
窓際から腰をふってキャットウォークしてくる華やかな女は奈緒だ。相変わらずのスレンダーで、武器になりそうなアクセサリーとシャープな髪型。着ているものが派手なのにそんな印象を持たないのは、組み合わせが上手だからなのだろう。
総柄のワンピースを嫌味なく着こなせるのはロンドン仕込か。
「来たわね、漆原!」
まず真っ先にヤツに顔を向けて、奈緒は言った。
「本当に都と結婚したのね。ちゃんとこの子を幸せにしてるんでしょうね!?」
返答によってはシバくわよ、と奈緒が拳を突き上げながら言うのに、目を向けて、だらーっとヤツが言った。
「・・・・誰?」
奈緒の口元がひくついた。