続・鉢植右から3番目
あ、殺されるかも。そう思ったけど、体力温存を優先して、私は口を出さなかった。
鬼みたいな顔になったけど、奈緒は一度深呼吸をして怒りの気を散らす。流石に会場の入口付近でさっそく元同級生を殴るのは、どうかと思ったらしい。
大人になったなあ!
ふううう~・・・・と息をゆっくりとはいて、瞳に殺意を宿らせながら奈緒が言った。
「小学校の3、4年と中学の2年、それと高校2年で同じクラスだった榊です。榊奈緒」
ヤツが、考え込んだ。名前と学年では判らなかったらしい。
奈緒は更に深く息を吸い込んで吐き出す。
「・・・ちなみにあんたとは飼育委員も一緒だったし高校2年の時には何故か2ヶ月連続席が隣で、日本史の授業で必ず寝るあんたを先生の攻撃から守る為に起こしてやってたわ」
「あ」
「思い出した?」
面白くてつい横から口を挟むと、ヤツは奈緒を見たままで、たら~っと頷いた。
「うん。生物の授業でよく保健室に逃亡していた榊さんか」
「何の記憶よそりゃ!」
うがあ!と掴みかかろうとする奈緒を、どうどう、と自分の体を使って押さえる。