続・鉢植右から3番目
私の隣までヒールを鳴らして歩いてきた渡瀬さんは、彼女から視線を外さずに、がっつりと見下した笑顔を見せた。
「やっぱり這い蹲るべきよ、あなた。毎日奴隷のような妻を演じているならそれだって出来るでしょ?何なら私が直々に調教してあげてもいいわよ」
私は隣で口をあけっぱなしで見詰める。
え、調教?・・・誰が、誰を?ってか、調教って、何するの?
佐々波さんは前で、真っ赤になって立ち尽くしている。
しばらく口をパクパクさせていたけど、小さな声をゆっくりと出した。
「・・・奴隷のような・・・妻って・・・し、失礼な――――――」
「だって、ダンナ様に浮気されてるのに許してるんでしょう?男に言えないから、この人に八つ当たりして発散しているんでしょう?そして、今はそんな醜い姿に」
そして、相変わらず悪魔のような笑みを浮かべた迫力満点の渡瀬女王様が、トドメのように言ったのだ。
「あなたは」
ピタリと指をさす。
佐々波さんは更に固まる。
「私の」
声が低くなる。瞳も細められて、振り払った髪の毛からいい香りが辺りに広がる。
「しもべに、してあげるわ―――――――――」
一瞬、何かの魔法にかかったかのようだった。