ヴァイス君の日常



「ルイスです。朝食をお持ち致しました」


ノックしたのがルイスだとわかると「シュン」と音がした後に結界の鈍い光が消えていく。


「入れ」


許可が下りて扉を開き中に入って行くと、そこには朝から見目麗しい王子様。

ルイスの後ろから俺が顔を出すと突然、顔を顰める。


「何でお前まで居るんだ」


「決まってんじゃん!朝食を一緒しようと思って来たんだよ」


俺の言葉に益々不機嫌顔になる。


「ヴァイス、ロック様に用があるから来たのではないのですか?」


「だから一緒に朝飯食おうと思ったんだよ。立派な用だろ?」


にやりとすればルイスの顔が引き攣った。


「ルイス様、ヴァイス様、おはようございます」


奥の部屋から出てきた姫さんは今日もふんわり微笑んで挨拶をしてくれた。


「おはよう、姫さん。今日も綺麗だねぇ」


今日の姫さんは真っ白な膝丈のワンピースを着ていた。


三人分の食事を並べて席に着いて食べ始めるとルイスが熱い紅茶を入れてくれる。

楽しく(?)食事をして空になった皿をカートに乗せてルイスと共に部屋を出た。


「なぁ?ルイス」


「何ですか?」


「ルイスって王宮専属医師だろ?」


「何ですか今更。当たり前でしょう」


「でも俺、思ったんだけど・・・ルイスって医師の仕事よりも侍女の仕事ばっかりしてねぇか?」


「私だって、ちゃんと医師として仕事してますよ!」


力説してるけど・・・これからも侍女的役割の方が多いんだろうな。可哀想に・・・


「はいはい、そうだね」


軽く受け流したのがいけなかったのか


「何ですか、その言い方は!貴方は私を医師として認めていないって事ですかっ?」


怒り始めたルイス。


「んな訳ねぇでしょ?まぁ、そこんとこは医務室でじっくり話そうよ」


どうどうと馬を宥める様に肩を叩いて医務室に向かう俺達。

確か医務室に美味しいクッキーがあったよな?と頭の中で考えていたら、にやりと笑みが出てしまった・・・

その後は、ルイスの話を聞いてやりながら美味いクッキーを堪能した俺だった。


あぁ~、美味かった♪


(終)

< 7 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop