小さな初恋
嘘だろ…


だってあの時、

周りに誰もいなかったから…



「珍しく近道しようって…
あの日はたまたま通ったんだよ?
そしたら…」




声にならないように、

次の言葉を止めた。



「兄貴…ごめん!!…俺を殴ってくれ!!」


今の俺には、

それぐらいしか償う方法がなかった…




「殴ったって、

愛斗が葵を嫌いになるわけじゃないから…」





兄貴は大人だ。


彼女を誰かにとられたって、



冷静なままでいる…





いそのこと、

感情的になって殴ってくれれば、



どれだけ楽か…


「ごめんな…兄貴…」





ごめんな…葵…


皆…













ごめん…





















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