悪魔的に双子。
「青ちゃん」


聞き慣れた声に振り返ると、田城成海が教室の後ろの席に座っていた。


お昼、弁当を一緒に食べてる一人で、あんだけ我慢してやってるのに、未だに健気でチャラい馬鹿、新田龍三郎に無視をかましているつわものだ。


わたしは意外な人間がいたものだと静かに驚いた。


「田城くんも壁画?なんか意外なチョイスだね」


「そうかなぁ」


首を傾げる仕草がカッコいい。


カッコいいのは見てくれだけで、中身は穏やかで優しい男の子だ(例外があることも判明したけど)とは分かっているのだが、壁画制作なんていう地道な作業が、似合う人間では、やはりない。


「青、誰」


隣の唯流が仏頂面のまま、失礼なことに田城を思いっきり指さした。


「こら、人を指でさすな」


「唯流ちゃん?真昼の妹さんでしょ」


田城は唯流の無礼を気にとめなかったらしく、笑顔で尋ねた。


唯流の片眉がつりあがる。


「………あんたも真昼のファンなの?」


わたしはブッとふきそうになって、慌てて口を抑えた。


まさか、そう来るとは思わなかった。


てっきり、



「知らない人に名前で呼ばれるなんて、気持ち悪い」


とか言うと思ったのに。


田城は何故か気がたっている唯流と、口元をぴくぴくさせているわたしを困ったように交互に見て、


「ファンっていうか……普通に友達、です」


語尾が敬語になったのは、唯流の迫力に気圧されてだろうか。








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