悪魔的に双子。
「青ちゃん、病院についてきてくれない?」
百合人くんがそう言ってきたのは二人で朝食を食べているときだった。
「……病院?百合人くんどっか調子悪いの?」
食パンを口に運ぶ手を止めて、正面の無表情な顔を見返した。
ちがうちがうと百合人くんは首を横に振った。
「俺のお母さんのお見舞いに行く」
「百合人くんのお母さんの、お見舞い」
わたしは戸惑って目をしばたたかせた。
百合人くんのお母さんは、わたしにとっては義理の祖母にあたる人だから、お見舞いに一度は行ってしかるべきなのだが、申し訳ないことに考えてもいなかった。
お母さんーーあみこさんとお祖母さんはあまり仲が良くないためにこれまでもほとんど接点をもったことがなかった。
だから、百合人くんが突然現れたときには本当にびっくりしたのだ。
「一緒に行くのはいいけど、わたしが会っていいの?」
おずおずと尋ねると、珍しい笑みが返された。
「もちろん、青ちゃんにとっては義理の祖母なんだし。きっとお母さんも喜ぶ」
「………はあ」
なし崩しに行くことが決まり、気づいたときには病院行きの電車の中で揺られていた。
隣に座る百合人くんを横目に見ながら、わたしは首を傾げていた。
いったい何を思ってわたしを連れていこうとしてるんだろう?
百合人とわたしたちはだいぶ打ち解けてはいるし、家族っぽい雰囲気ではあると思う。
でも百合人くんは明らかに、特に実の姉であるはずのあみこさんとは確実に一線を引いている。
おそらくあみこさんと百合人くんのお母さんの間にある確執のせいだ。
百合人くんとはかなり仲良しだと自負しているわたしではあるけど、義理とはいえあみこさんの娘であるわたしは、明らかに『あみこさん側』の人間だ。
そんなやつを、すすんで母親に会わせたいものだろうか?
まぁ、もちろんあみこさん自身は、百合人くんのお母さんの入院手続きのときに会っているんだろうけど。
百合人くんがそう言ってきたのは二人で朝食を食べているときだった。
「……病院?百合人くんどっか調子悪いの?」
食パンを口に運ぶ手を止めて、正面の無表情な顔を見返した。
ちがうちがうと百合人くんは首を横に振った。
「俺のお母さんのお見舞いに行く」
「百合人くんのお母さんの、お見舞い」
わたしは戸惑って目をしばたたかせた。
百合人くんのお母さんは、わたしにとっては義理の祖母にあたる人だから、お見舞いに一度は行ってしかるべきなのだが、申し訳ないことに考えてもいなかった。
お母さんーーあみこさんとお祖母さんはあまり仲が良くないためにこれまでもほとんど接点をもったことがなかった。
だから、百合人くんが突然現れたときには本当にびっくりしたのだ。
「一緒に行くのはいいけど、わたしが会っていいの?」
おずおずと尋ねると、珍しい笑みが返された。
「もちろん、青ちゃんにとっては義理の祖母なんだし。きっとお母さんも喜ぶ」
「………はあ」
なし崩しに行くことが決まり、気づいたときには病院行きの電車の中で揺られていた。
隣に座る百合人くんを横目に見ながら、わたしは首を傾げていた。
いったい何を思ってわたしを連れていこうとしてるんだろう?
百合人とわたしたちはだいぶ打ち解けてはいるし、家族っぽい雰囲気ではあると思う。
でも百合人くんは明らかに、特に実の姉であるはずのあみこさんとは確実に一線を引いている。
おそらくあみこさんと百合人くんのお母さんの間にある確執のせいだ。
百合人くんとはかなり仲良しだと自負しているわたしではあるけど、義理とはいえあみこさんの娘であるわたしは、明らかに『あみこさん側』の人間だ。
そんなやつを、すすんで母親に会わせたいものだろうか?
まぁ、もちろんあみこさん自身は、百合人くんのお母さんの入院手続きのときに会っているんだろうけど。