悪魔的に双子。
「……何?」


恐る恐る聞くと、


「今日一日は僕の上履き履いてなよ。」


と返ってきた。


「……結構です。」


「えっ?何で?上履きないの少し恥ずかしいでしょ」


「恥ずかしいけど…真昼の上履きちょっとでかいだろうし。」


せっかくの珍しい好意を何とか傷つけまいと言い訳を思いつくと、


「そんな変わらないよ」


とあっさり返された。


「で、でも真昼が恥ずかしいでしょ?……つか何で?」


真昼はむっとした顔をして言った。


「だって僕のせいなんでしょ……いろいろ」


うん、ほんと。


君のせい、なことはいろいろと。


でも直接的に悪いわけでもないのに弟から上履き取り上げる趣味はない。


「好意だけ受け取っときます」


何か言われる前にさっさとその場を離れることにした。


「どうせ苗字一緒だからバレることもないのに。」


まだ後ろで不満げな声がする。


妙に頑固なのだ、真昼は。


変にずれ込んでるし。


「あのねぇ」


わたしは本日何回目かのため息をついて言った。


「……ほんと、いいから」


そそくさと逃げだした。
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