OCEAN SONG
3day

和菓子屋


「美波。いつまでも寝てるの」

翌日。

おばあちゃんに身体を揺すぶられ
私はムクッと起き上がる。

「んー…。おはよう。おばあちゃん」

「美波、ちょっと悪いんだけど
和菓子の内野屋っていう店に行って
大福を買ってきてくれんかね?」

「ん。わかった」

私は支度をして、おばあちゃんにお金を
貰って外に出る。

外に出た瞬間、ムワッと蒸し暑い
湿気と太陽の照りが私の肌を刺激する。

私は自転車に跨がり
勢いよくペダルを踏む。

ゆっくりと車輪は動き出す。

店に着くと、扉の向こうに
見慣れた姿があった。

その姿を見た瞬間、ドキッと
胸の内が波を打った。

内野くんだ。

内野くんが、扉の向こう側にいる。

私はドキドキと心臓がバクバクと
波打つ中で、重い扉を開けた。

「いらっしゃいませ…って、あ!」

「こ、こんにちは」

頬杖をついて退屈そうに横を
向いていた内野くんが前を向いたとき
凄く驚いたような顔をした。

私は気まずそうに、困ったように笑って見せた。

「佐山!どうした?」

「えっと…。大福が欲しくて」

「わかった!大福な!」

内野くんは厨房に入り、
お母さんらしき人物に話しかけて
何か言っている。
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