OCEAN SONG
家に着いた頃には
Tシャツが汗だくになっていた。
髪も汗でびしょびしょになっている。
「ただいま」
「おかえり。びしょびしょじゃないか。
早くお風呂に入ってきなさい」
「うん」
おばあちゃんに促され、私は
風呂場に向かった。
ガラッと扉を開けて
シャワーの蛇口を捻る。
ジャー、という音が耳に気持ちいい。
汗でベトベトになった体が
水によってきれいになって
洗い流される。
私はなぜだか、シャワーの水と
汗に紛れて涙を流した。
なぜかはわからない。
ただ、涙が出た。
それだけのこと。
何の感情もない。
悲しいも、嬉しいも。
ただ、内野くんへの想いだけが
心に残っている。
ヒック、と嗚咽が出た。
ヒック、ヒック、と何度も嗚咽を
漏らす度に、私が漏らした嗚咽が
風呂場に響いた。