R∃SOLUTION
001.午前零時の誘惑
 この世界に、意味はあるのだろうか――。

 金の髪を揺らして、少女は高い天井を仰いだ。

 足元に転がる三つの死体には、もう慣れた。

 これも、既に五回目の試みである。慣れない方が可笑しい――と思ってから自嘲する。

 本来ならば有りえない。たった五回で、この異様な状況を受け入れているのだ。

 それは或いは、彼女が人間たりえぬ証拠かもしれなかった。

 転がっている人型の肉塊を一瞥して、彼女は安堵の溜息を吐く。

 今回は三人で済んだのだ。いるかも分からない神に感謝しようとして、やめた。

 神が神に祈るなど、何とも滑稽な話である。

 振り返った先に控えていた銀糸を見た。暗鬱とした表情の少女を見据えて、それは無言を貫く。

「今度は、上手くいくのでしょうか」

 憂慮の言葉が無為に響いた。

 返答はない。

「これだけの犠牲を払ってなお、この世界は生きるべきなのでしょうか。世界を世界足らしめるものを、喪っても」

「それだけは」

 ようやく口を開いた白銀に表情はない。

「真実にございます」

 続く言葉はなかった。

 そのまま押し黙る少女の背に、銀糸は頭を垂れた。
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