僕を刻み込む…
【愛】
学校には行きたくなかった。
しかも今日は海里が休みというのもあるからなおさら嫌だ。
渋々、部室のドアを開ける…
『おはよ…』
「あ!おはよ!!」
相変わらず元気のいい奴だ。
『良いことでもあったのか?』
「何で?」
『いや…やけに元気だからさ』
「ん~…そうかな?別に良いことなんてないよ?」
『そっか』
咲は嘘つきだ。
『今日は海里も居ないし、自分のパートの練習でもするか。』
「うん!」
咲は嘘つきだ…。
今となっては…
大好きなお前の笑顔が…俺を傷つける…

『咲…』
「何っ…んっ」
咲に無理矢理キスをした。
「…っは、何するの!?」
『…俺さ、ずっと前から咲の事が好きだった』
「…え」
『好きだったんだ』
「い…今更いわれても…っん…はっ…」
『…っは知ってる。お前は海里が好きだ。昨日のキス…俺見たんだ。』
「なっ…」
『見るつもりなんてなかった…俺は見てしまった…』
「…っん…はっ…ん…やだぁ…」
『…』
「やめ…て…っ」
嗚呼、何でこんなことしてしまったんだ。
でも、俺はこれで良かったとおもっている。
咲は目から、大粒の涙を流している。そんな嫌がっている姿さえ、いとおしい…。


『この事は海里には言うなよ』
「は?!言うに決まってるじゃない!」
『あーあ。そんなことしたら、バンドは解散だな。』
「え…」
『海里の楽しく演奏する姿…二度と見れなくなるぜ…?』
「そん…な…」
『じゃあ、俺帰るから、気おつけてな。』
「そんな…ひど…い…」
ガチャン…
俺は酷いことをした。
でも、良かった。
次に咲が海里とキスする時、
俺を思い出してくれる…。



愛してるよ。咲… 。
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