僕を刻み込む…
【想】
練習も終わり、3人並んで仲良くおしゃべりしながら帰っていた。
「今日も頑張ったね!」
[あぁ、これなら来週には完璧だな!]
なんか俺が邪魔者になってる気がする…二人っきりの方がいいんじゃないか…?
別に、俺は海里が嫌いな訳じゃない。むしろ、最も信頼している仲間だ。ただ、咲と二人で並んで歩いている所を見ると、相思相愛なんだなぁ…とか、うらやましいな…と、やっぱり思ってしまう。
『俺、用事あるから、先こっちから帰るわ、じゃあな。』
「[また明日!]」
…少し角を曲がった所で立ち止まった。
本当はたいした用事なんか無い。ただ、咲と海里の二人きりにしてあげたかっただけ…。
『何やってんだ…俺…』
しゃがみこんで、顔を埋めた。

しばらくして、元の道へ戻って帰った。辺りは真っ暗だ。人もいない。
はずだった。
チュッ…と響くリップ音。嫌な予感がした。見たくない。見たくない…っ。
そう思っているのに、どんどんその音のする方へ近づいた。


俺は
見てしまった
一番見たくない…
見たくないものを…
早くこの場から離れたい
でも足が動かない…
キスを終えて、赤らみなから帰っていく、咲と海里を俺はただ、呆然と立ちながら見ていた。
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