《改稿中》V系霊媒師「咲邪」†SAKUYA†《改稿中》
『ああすいませぇん。ゼロ君たら、リビングでオシッコしちゃってぇぇ』


「なんだぁ、ビックリしたわよ。いきなり無言になったから」


 咲邪は2人に身振りで心配ないと伝える。


「じゃあこれ以上は解らないってことね?」


『はいぃぃ、お役に立てなくてぇ、申し訳ないんんですがぁぁぁ……』


「仕方ないわよ。じゃ、萌えリンでも呼ぶわ?」


 暫く考えていた咲邪は、仕方なさそうに肩を竦めた。その瞬間。



  ブボボボボゥッ!



「デモってなんなんだわさデモって!」


 咲邪のすぐ後ろに現れた赤く燃え盛る火の玉は、萌え魂の萌えリンだ。



  ジジジジ……



 イワシを焼いたような芳ばしい臭いがその場に充満する。萌えリンがあまりに近付いたので、咲邪自慢の栗毛が焦げてしまったのだ。


「ちょちょちょっとぉぉぉ! 髪が燃えちゃうじゃないっ」


「咲邪! お前が師匠を敬わないからだべさ」


 萌えリンは不規則に動きながら、炎を赤くして怒った。


「オイオォゥイ! 内輪揉めしてどうするぅぅ。

 そんな事よりなんだぁぁ、どうなってんだぁあのバンドぉ」


 2人(?)の間に割って入った覇龍が尋ねる。


「ああ。あれは『音魂』だわさ。あのバスドラが霊を呼ぶのさ」


「お・と・だ・ま?」


「お前らはバンドだから、いつかこういう日が来ると思ってたべさ」


 萌えリンが言うにはあのバスドラムは以前違う持ち主の物で、その主は熱心な鬼信仰を持っていたのだという。

そしてついに彼は鬼にとり殺され、その怨念がとり憑いたバスドラムが『カシカシ』のそれらしいのだ。


「だからあのバスドラ自体は霊では無い訳さ。念が音を伴って念波ネンパとなり、浮遊霊や魑魅魍魎を呼ぶんだわさ」


 冷静を取り戻したのか、いつもの青白い炎になって萌えリンは言った。


「その邪気に当てられてファンもおかしくなったんだ。きっとそうだ」


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